軽音楽をあなたに

音あと

 私が音楽的なルーツというかトラウマを持つようになったのは中学~高校の時としつこく言っていますが、この頃の情報ソースの一つにラジオがありました。
もっというとFMラジオであり、さらに絞り込んでいくとNHKで放送されていた「軽音楽をあなたに」となります。

 この番組は月曜日~木曜日の16:10~18:00(何で16:00からじゃないんだ?なぜ金曜日はやらなかったんだ!とあの頃は思っていた)という枠で放送されていまして、私の好きなミュージシャンのプログラムがある日は、学校が終わると速攻で帰ってエアチェックをしていました。
 下校時間が16時くらいだったため、番組の始まりにはいつも間に合わなく、タイマー付きのラジカセなんか持っていなかったので、頭の30分くらいはいつも録り逃していました。
 勝手な妄想ですが、「16時くらいからFM聴ける人ってどういう人?主婦?喫茶店の経営者?NHKってどういうリスナーをターゲットにしているんだ?学生ターゲットだったら17時くらいから始めてくれよ!」などと冒頭が聴けないという自分の都合のために知り合いでもないNHKの番組プロデューサーのことを呪ったこともありました。

 ちなみに「軽音楽」ってなに?ということなのですが、ちょっとwiki等で調べてみると...
「クラシック音楽に対して通俗的・大衆的な音楽を指し、バンド演奏され、聴衆は気軽な気分で愉しむ。具体的にはジャズ、シャンソン、タンゴ、ハワイアン、流行歌などが挙げられる。」
とありました。

軽音楽 - Wikipedia

 また「light music」という項目では
「古くはモーリーの『実際の音楽への簡明平易な手引』(1597年)に”Madrigals, Canzonets, and such like light musicke”という一節があるように、気軽に聴ける音楽という意味合いが light music にはあった。」とあり、源流はイギリスからだと記されていています。

 まあクラッシックを「重」と例えると、気軽に聴けるから「軽」だとする、英国の音楽事情を和訳したので「軽音楽」にしたというような業界にありがちな安直なネーミングだったのでしょう。
 クラッシックのことを重音楽と呼んだのを聞いたことがないし、自分の当時の軽音楽のイメージってポール・モーリアとかのイージー・リスニング(気軽に聴くという意味では一番軽音っぽいでしょ?)だったんですが、「軽音楽のあなたに」では結構ヘビィーなロックやパンクなんかもかけていました。
 その後YAMAHA主催のコンテストでは、ライト・ミュージック・コンテスト(ポプコンの後のYAMAHAの音楽コンテスト、チェッカーズなどもこちら出身)にエントリーしていた人達のジャンルって本当に様々でした。
 最近のアニメ「けいおん!」では、バンド・ミュージックのことを指しているようにも見えるし...
 なので、その時代の音楽形態、ジャンルをカテゴライズするときに都合がよい、まさに軽ぅ~い音楽みたいなキーワードとして使われているよな気がします。

「軽音楽をあなたに」に話を戻しますと、
 オープニング曲(タイマー録音できるようになってから聴けるようになった)であるStuffの”My Sweetness”で軽音楽感を誘った後、

★Stuff 1stアルバム
 ジャズ・フュージョンの名盤
 リチャード・ティーのローズが軽快な”My Sweetness”を聴くと心が躍る

 DJの山本さゆりさんの落ち着いた優しい語りで本日の特集の紹介があり、それから曲が始まるまでの高揚感でドッキドキ状態...
 そして曲が流れて実食状態になるのですが、紹介されるアーティストの新曲をそこで初めて聴いて、それが最高だったりすると本当に舞い上がってしまっていました。

 クィーンやエアロも最初は、この番組で知ったんではないかと思いますし、後に私の好きなジャンルになるプログレッシブ・ロックも初めはこの番組だったと思います。
 UKの初来日ライブ”Night After Night”もこの番組で初めて聴いたんですよね...

★UK ”Night After Night”
 プログレ好きになるきっかけの1枚

 これで私はジョン・ウェットンの歌が好きになり、テリー・ボジオのカッコよさに参ってしまい、ギター弾きの私がドラム好きになるきっかけとなっていくわけです。エディ・ジョブソンのキーボードもスペーシーな部分や攻撃的な部分すべてにロックを感じ、その上ヴァイオリンがメロディアスなんだけど過激で...プログレも知らなかった時代なので、エマーソンも知らず、パープルも聴き始めでジョン・ロードもよくわからない...そんな中、エディのキーボードは確実に私の中のキーボード像を確立するのでした。
 皮肉にもこの時のUKからはアラン・ホールズワースは脱退しており、彼にぞっこんになるのは、もう少し後になります...

★UK 1stアルバム
 Allan Holdsworth、Bill Brufordもオリジナルメンバーとして参加
 私にとっての後の愛聴盤となる

 高校生に入ったくらいから、番組の特集も当時の流行からか、よりイージー・リスニング化されていき、ジャズ・フュージョン、クロスォーバーがかかることが多くなりました。
 上記した、Stuffやラリー・カールトンやリー・リトナー、クルセイダーズなどを初めて聴いたのもここででした。

★Larry Carlton 邦題「夜の彷徨」
 コピーしました”Room335″
★Lee Litenour “The Captain’s Journey”
 この中の”Matchmakers”は昭和の番組
 プロポーズ大作戦の「フィーリング・カップル5対5」のBGMで使われていた
 ちなみにMatchmakerが仲人とか結婚斡旋人という意味であることを知ったのはずーと後で、
 それで使われてたのか~と感心した

 今改めて当時「軽音楽をあなたに」を聴いていた時のことを振り返り、相当影響されていたのだな~と回想してしまいます。
 ギターへの影響はもちろん、そこで聴いた音楽が起点となって自分の感性が形成されていたのだなと...
 子供のころから自分にダメ出しばっかりしていて、何だか冴えない引っ込み思案の少年でしたが...ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、音楽を通して、それ以外の何かを考える時の指標となる思考のようなものを育てることができたような気がします。
 自分にとっての唯一の趣味といっていい音楽ですが、その門徒を開いてくれたのは「軽音楽をあなたに」だったのだなと思います。

 80年代くらいから、レコードやCDのレンタル・ショップが現れるようになって「軽音楽をあなたに」のような番組は減ってきたと聞きいたことがあります。
 現在はネット社会となりYouTubeなどから音楽情報を山ほど仕入れる方も多いのでしょう。
それはそれで素晴らしいとは思いますが、情報の多さに戸惑っている方も多いのではないでしょうか?

 あくまでも個人的な意見ですが、私のペース・感覚でゆっくりと情熱を熟成することができた昭和のあの時代が性に合っていたのかなと感じています。
 そしてそのセンスを育てるのに音楽というツールが非常に役立ったと思っています。振り返るとそういった過程において、「軽音楽をあなたに」というのは最高の学校だったわけです。

 NHKのFMでは、他に「サウンド・ストリート」や「クロスォーバー・イレブン」などの番組も良い学校として存在していました。
 そこら辺についても「軽音楽をあなたに」と併せて、これからのブログに登場してくると思います。

ではお楽しみに♪

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